第251号でトム・クルーズ主演のM:Iの最新作を観に行ったことに触れましたよね。
実は先日、長男(大学院生になりました)を誘ってIMAX上映で追いミッションして来ました。IMAXは画像が精彩で音響が迫力満点でした!
M:Iの見どころは何と言ってもトム・クルーズの超絶アクションなのですが、この映画が他にはあまり例のない手法でつくられていることをご存じでしょうか?
それは、“まずトム・クルーズが撮りたいアクションシーンを撮ってから、後づけで脚本をつくる”という手順みたいなんです。
「ほんとに?」と思いますが、何度かそのような記事を見ましたし、あのトム・クルーズならあり得るな~ということで、ここでは本当ということにしておきましょう。
さて、ここで話は大きく変わります。
フランス人の人類学者レヴィ=ストロースが1962年に発表した『野生の思考』という本があります。歴史上の名著ですから、ご存じの方も多いかも知れません。(そういう私が知ったのは、ごく最近)笑
この本には、先行き不透明な今の時代を楽しく生きて行くためのヒントとなる『ブリコラージュ』という考え方が紹介されています。(ごく簡単にご説明しますが、私も十分に理解しているわけではありません。悪しからず)
この本では近代社会で発達した合理的な思考を『エンジニアリング』と呼んでいます。これは、まず目標を定め、そこに到達するために必要なものを調達しながら達成を目指すという思考法です。
現代では基本的な思考の枠組みになっていて、「目指せ!○○大学」の受験勉強も、「目指せ!売上○億円」の中期経営計画も、エンジニアリングの思考法がベースにあります。
エンジニアリング的な生き方の代表は大谷選手。
彼が高校生のときに書いた目標の曼荼羅図は有名ですよね。ワールドシリーズで優勝したときや結婚したときに紹介されて、「目標の実現具合がスゴイ!」とみんな驚いていましたね。私も本当にスゴイと思いますし、大谷選手のことは大好きですが、「私もそういう生き方をしなくちゃ」とはまったく思いません。
私にとって心地いいのは、エンジニアリングよりブリコラージュな生き方なんですよね。
『ブリコラージュ』は“野生の思考”と呼ばれ、この世に人類が現れて未開の文明の頃から使われて来た思考法です。これは、今あるものに注目して、それを寄せ集めてできたものを完成品とするという思考法です。(もともとコラージュというのは、“寄せ集め”という意味ですもんね)
自分にないものを欲しがるのではなく、自分にあるものに感謝して生きて行けそうで、この思考の方が好きなんです。
今日はビーフカレーが食べたいのに、冷蔵庫の中に牛肉がない。スーパーを何件回っても、欲しい牛肉が見つからない・・・う~ん、ストレス!!
私はそういう生き方よりも、冷蔵庫にチキンがあったから今日はチキンカレーで行こう!みたいな方が心地いいんです。
大谷選手のように一流のアスリートを目指す人には向かないかもしれませんが、そうでない多くの人には意外とフィットする思考法・生き方だと思います。
さて、ここで話は再びM:Iに戻ります。
この映画のつくり方はまさにブリコラージュ!
完成済みの脚本通りに撮影を進めるのではなく、まずはやりたいアクションシーンを撮ってから、それをどのように活かして1本の映画にするかを考える。
撮影しながら「どこに向かっているんだろう?」みたいに考えるのも、まさに人生と同じでエキサイティングだと思いませんか?
あなたは、エンジニアリング派ですか、それともブリコラージュ派ですか?
(文:大原)