最近、ネガティブ・ケイパビィティというワードをなぜかよく耳にします。
何度も続くのには何か意味があるはず。・・・ということで、取り上げてみました。
そういえば第252号でご紹介した野口嘉則さんの「AI時代に必要な5つのチカラ」の一つでもありましたね。(記事はコチラ)
「ネガティブ・ケイパビリティ=曖昧耐性」
白黒はっきりしない不確かな状態の中で、性急に事実や理由を求めようとせずにいられる能力のこと。
答えが分からないモヤモヤの中でも落ち着いていられ、探究を続けられる能力ということもできます。
今、なぜこの能力が重要と言われているのか。
まずはその理由から紐解いていきましょう。
今まさに、AI活用全盛時代に突入したと言っていいですよね?!
「聞きたい質問はAIが答えてくれるから、もう家庭教師はいらない」
--ある中学生の言葉です。
そういえばうちの長男も、「AIがなかったら卒業論文書けてないわ」と言ってました。気になったので、どんな使い方をしているのか聞いてみると、物性強度を計測するシミュレーションを行うプログラムの不具合の修正をAIにさせているのだとか。若者は新しいものをどんどん取り入れていきますね。見習いたいです。
辞書や本で調べる時代から「ググる」時代へ、というのはもはや過去の話。AIの実用化によってググることすら非効率に感じるようになりました。
今は知りたい情報がサクッと手に入る、人類史上もっとも便利な時代です。
だからこそ重要とされるのが、ネガティブ・ケイパビィティなのです!
なぜならば、人間関係がうまくいかないとき、AIに聞いても返ってくるのは一般論だけ。人生の岐路に立ったとき、「今自分は何を選択したら幸せになれるか?」をAIに聞いても、正解は返って来ません。
AIは情報から最適解を探すのは得意でも、人間関係や人生の悩みなどの”そもそも正解がない問い”に答えることはできません。
つまり、こういった問いと向き合う力を磨くことは人間ならではの課題であり、AIがどんなに進化しようとも、私たちが豊かに生きるために欠かせないのです。
例えばこんな場合、
・大切な人との間に価値観のズレに悩んでいる
・キャリアに迷って簡単には決断できない
・仕事で過去に例のない課題にぶつかった
これらの正解は、ビッグデータの中にはありません。
人生において重要な局面で必要となる能力の多くは非認知能力と呼ばれ、ペーパーテストで測定することができません。教科学習のように点数で評価することが難しいので、現状の教育制度の中では後回しにされがちです。もちろん、そうでない学校や先生方も多くいらっしゃるとは思いますが…
私は「経験・問い・対話」の3つがネガティブ・ケイパビリティの涵養に繋がると考えています。
弊所の小中学生向けプログラムの「心のチカラ・学びのチカラ」や大人向けのファシリテーション講座は、対話で学びを深め合います。これが、ネガティブ・ケイパビリティを磨く絶好の機会になります。(手前みそ)
「こういった力を育む環境づくり、とっても大事だと思います!!」
そういう方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に何かやりたいなと思います。
(文:大原)