「今日の授業、絶対ハマる!」
塾講師だった頃の私は、そう確信して教室に向かいます。
授業プランは完璧。脳内リハーサルでも成功する未来しか見えません。
ところが、始まってみると反応はイマイチ。
中には寝ぼけ顔のラジオ体操くらいのテンションの生徒もいたりして。
それは大人向けの研修でも。
「今日の研修の場、よかったな」という手応えがあっても、アンケート評価が割れている。
みなさんにも、人に何かを伝えるときに”自分のイメージと相手の温度感がズレていた”というような経験はありませんか?
でも私、最近はそういうことが減りました。
とてもシンプルな、あることを心がけるようになったからです。
長年この仕事をしてきて思うのは、勝負の半分は中身に入る前についているということ。
私たちはつい、中身を練り上げることばかりに力を注ぎます。
しかし相手は、中身に入る前にある審査をしています。
審査項目はこれ ↓
「それ、私に関係あります?」
人は知的好奇心のかたまりである。
…と言いたいところですが、実際は「自分に関係あると思うことに限る」のだと思います。
どれだけ有益な話でも、自分との関係が見えなければ、頭の中では「へぇ」の一言で処理されてしまいます。
だからこそ、授業や会議ではイントロづくりが重要になります。
教育工学には、学習意欲を高めるための「ARCSモデル」という理論があります。
その中でイントロと深く関係するのが次の二つ。
A(Attention)=興味を持てたか?
R(Relevance)=自分に関係あると思えたか?
人は、「おっ、何だろう?」と思い、さらに「それ、自分に関係あるな」と感じたときに初めて前のめりになります。
例えば会議なら、「今日の議題は○○です」よりも、「ここで決まることが、来月の私たちの仕事のやり方を大きく左右します」と伝えた方が熱が入りますよね。
授業も同じ。
「今日は指数関数を勉強します」よりも、「フォロワー100人のYouTuberが1年後に40万人にする方法を教えます」と言われた方が気になるでしょう。
話の中身は同じです。違うのは入り口。
中身はもちろん大切ですが、その前に考えるべきことがあります。
そもそも参加者は、こちらの船に乗る気になっているか?
どれだけ立派な船を用意しても、「その船に乗る意味ある?」と思われた瞬間に出航できません。
だから最初の数分で、「何だろう?」「自分に関係ありそう」を届ける。
授業も会議も、人は最初の3分でその時間への向き合い方をかなり決めています。
勝負は中身だけでは決まりません。
参加者が「それ、私に関係あるな」と思う瞬間があるかどうか。
そこが勝負どころです。
(文:大原)